bluebluebird バレンタイン?

「マルー、出かけるぞー」
ディルは暇ができるとマルシエロを街へ連れ出します。
マルシエロがいろいろなものに関心を示して聞いてくるのが楽しいからです。
街を歩いていると、マルシエロが食料品店の前に貼られたポスターを指差しながらディルに尋ねました。
「マスター、あれはなんですか?」
「ああ、あれはバレンタインの広告だ」
「ばれんたいん?」
「まあ、習慣っていうか、年間行事のうちの一つだな。大切な人に贈り物をする日があるんだ」
(大切な人…)
マルシエロはそう考えながらディルの話を聞いています。
「渡すものは決まっているわけじゃないんだが、ま、そこのお店的にはチョコレートを売りたいんだろうな」
「マスターはチョコレートが好きですか?」
「そうだな、甘いものは結構好きだなー」
ディルは答えながらなにか考えるように、
「今年はどんなサプライズにするかな・・・」
とつぶやきました。
「サプライズ?」
マルシエロが聞き取った単語をディルに返します。
聞かせるつもりではなかった言葉を返されて一瞬ハッとしたディルでしたが、
「贈り物は渡すその時まで隠しておくのが喜んでもらうためには必須、ってことだ」
と、マルシエロに言いました。

そんなことがあった数日後のことです。
マルシエロとブラウが話をしています。
「ブラウさん、今日は街へ行くのですか?」
「そうだな。買い出しの用がある。・・・どうかしたか?」
「僕の仕事には入ってないのですが・・・一緒に連れて行ってもらえませんか?」
そういうこともあるのか、と思いながらブラウは
「ああ、構わないぞ」
と言いました。

その日の午後、ブラウとマルシエロが街から帰ってくきて玄関を開けると、
「おっかえりー」
ディルが待っていたかのように出迎えました。
「お使い行ってくれたんだって?えらいぞーマルー」
「…買い出しは全部済ませられました」
マルシエロにデレデレのディルを横にブラウが言います。
「なんだ?ブラウも褒めて欲しいのか?いいぞ!」
「遠慮しておきます、旦那様」
ブラウは彼の頭を撫でようとしてくるディルの手をさっと避けました。
「じゃあブラウの分もマルを褒めよう、うん」
ディルがそう言ってマルシエロの方に手を伸ばしました。
「ん?何か持ってるのか?」
マルシエロが後ろに手を回しているのに気づいてディルはそう聞きました。
「それは・・・その・・・」
マルシエロが言葉に詰まってすぐのことです。
彼の頭の方からぷすぷすという音と煙が出始めました。
「えっちょ・・・マル!?」
ディルがマルに手を差し出しましたが、間に合わずにマルシエロはそのまま倒れてしまいました。
その次の瞬間には、
「俺ちょっと出かけてくる!!」
ディルが言うやいなやマルシエロを抱え込んで車に飛び乗り屋敷から走り去っていきました。
「え!?あ、だ、旦那様どこ・・・へ・・・」
アリスがそう言った時にはディルはもう遥か彼方でした。
「マルシエロ君が生まれたところでしょう。まあ、マルシエロ君が帰ってくるのは時間がかかるかもしれませんが」
Kが落ち着いた調子でそう話しました。

数時間して、戻ってきたのはディルだけでした。
「『メンテナンス終わったら迎えにこい』って言われた・・・」
ディルの言葉を聞きながらKが言葉を返します。
「それでふて寝ですか」
帰ってきてからディルはいい年して自室のベッドでふさぎこんでいます。
「マルシエロ君が隠してたものは何だったのです?」
Kの言葉に対してディルはしばらく無言でしたが、やがてぽつりと返しました。
「……チョコレート」
「なるほど。旦那様にですかねえ」
「俺がプレゼントは隠しておくもんだっていったから…」
「…それがなぜあんなことに?」
「マルは、隠し事ができるようにはつくられてない」
「矛盾に直面した結果倒れてしまったわけですか…なかなか、大変なものなのですねえ」
Kがしみじみとした様子で言いました。しかしそのあとにはすぐに、
「旦那様、枕に顔を埋めてうーうー言うのはお止めください」
とディルにぴしゃりと言うのでした。

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